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2017/08/02

平成29年度税制改正大綱(その4 取引相場のない株式評価の見直し)

資産課税(主なもの)
・取引相場のない株式評価の見直し
・非上場株式等の納税猶予制度の見直し
・広大地評価の見直し
・医療法人における持分なし移行に伴う贈与課税
・納税義務の見直し
・物納財産の範囲、順位の見直し

取引相場のない株式評価の見直し

取引相場のない株式の相続税及び贈与税について、相続税法の時価主義の下、景気変動に応じて変動する上場企業の株価と異なり、景気変動が地域や中小企業に影響するまで時間がかかることを踏まえ、中小企業の株価が著しく変動しないよう等の観点から、取引相場のない株式の評価方法について見直しが行われます。
(平成29年1月1日以後の相続・贈与等により取得した財産の評価にて適用)

1.類似業種比準方式の見直し
【上場株価の対象】
(現行)課税時期の前月、前々月、前々月の前月、前年平均

(改正)現行に、『課税時期の属する月以前2年間平均』を追加
上場企業の株価の上昇による類似業種比準価額への影響を緩和させることになります。

【上場標本会社の決算対象】
(現行)連結決算を反映しない

(改正)連結決算を反映する
上場企業の子会社を含めた連結経営を反映し、より実態に即した評価となります。

【配当:利益:簿価純資産の比率】
(現行)配当 1 :利益 3:簿価純資産 1

(改正)配当 1 :利益 1:簿価純資産 1
利益の出ている企業にとっては株価が低くなる可能性がありますが、特別償却や役員退職金等で多額の損失を計上しても株価への影響は小さくなります。
簿価純資産の大きい企業は株価が上がる可能性があります。

2.会社規模区分の大会社及び中会社の範囲の拡大
類似業種比準方式による株価は、会社区分(大・中・小)に応じ、類似業種比準方式または純資産価額方式、もしくはそれらの併用方式にて計算されます。
大会社に区分される従業員数基準を現行の100人以上から70人以上に引き下げるとともに、総資産価額・従業員数、年間の取引金額基準も引き下げる等、評価会社の規模区分の金額等の基準の見直しにより、大会社及び中会社の適用範囲が総じて拡大されることとなりました。
この会社区分の変更にかかる改正により、より大きな会社区分に該当することとなれば、類似業種比準価額の割合が上昇し、株価が低くなる可能性があります。

3.株式保有特定会社の判定基礎の見直し
株式保有特定会社は、株式等の価額の割合が全資産の50%以上である会社で、会社の規模に関係なく純資産価額方式で評価され、類似業種比準方式の場合と比べて、一般的には高い金額で評価されることとなります。
この判定にあたり、これまで除外されてきた新株予約権付社債を、改正案では、新株予約権付社債は株価と連動して価額が形成されるものであることから、これを含めて判定を行うこととされました。
(平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用)